魔術師マイシェラのパスファインダー日記

D&D初心者がパスファインダーTRPGのプレイを日記風味につづってみました。

ラッパンアスクその7 黒き勇者サラセク

扉をマダナイちゃんに解除してもらい、慎重に歩みを進める。
勿論、その前にありったけのバフをかけてもらって。

戦いの歴史が鮮やかに描かれた壁画の通路をそっと潜り抜ける。
その先には、巨大な剣を携えた、堕ちたパラディンの末が待ち構えていた。

 

「我が眠りを覚ます、貴様らは何者だ」

 

「おっちゃん、何者やー!」

「我が名はサラセク。そういうお前たちは何者だ」

不躾な質問にも割りと律儀に答えてくれるなあ。

大気が振動するような威厳のある声で語りかけてくるスケルトン。
いや、そこらのスケルトンとは段違いの迫力がある。

空ろな窪みに、邪悪な赤い瞳が灯るのが見えた。

だけど、こちらとて負けてはいない。瞳は、そらさない。

 「あっ、ちょっとまって。私のキメ台詞の出番じゃない?」 

と、なにやら自分の出番がとばかりにキメるマダナイちゃん。

「名前はマダナイ(キリッ」

わーい、可愛い。なんだっけ、東の果ての役者みたい。 

 

「我々は主の命によりオルクス教団を壊滅させに来ました」

と、マルやんがうちらの説明をしてくれる。

「おとんの命じるままに遺跡発掘にきました」

「え、じゃあ同人作家とかで」

「(私は人を探しているだけなんですけどねぇ…)」

各々好き勝手な自己紹介を始める。 

 

「しかもオルクス教団の敵と来たか、

 どちらにしてもここで死んでもらう他ないようだな。」

呼応するように骸骨の剣士も雄たけぶ。

りっちぎー。

そんなことを考えていたら、とんでもない事がおきた。

 

剣を騎士儀礼に乗っ取った形で構えた骸骨から、悪のオーラが巻き起こる。

        *    *    *

【GM】
『30ft以内に入った人は意思セーブよろしくです。失敗すると怯えます。』

「えーちょっとぉー。ここでこんな啖呵きって怯えると格好悪いんですけどー」

        *    *    *

プレイヤーの叫びは無視され、戦闘が開始される。
幸いにもオーラに心くじかれるものはいなかったけれど。強敵だ。

 

まず駆け出したのは切り込み隊長のリオネル。

「貴方がオルクスの者だというのなら私にも戦う理由がありますね」

リオネルはここに人探しにきたってことだけど、どんな人なんだろう?

「私は主に仇なす者を討とうとしているだけです」
骨だけとなったアンチパラディンのACは幸いそこまで高くない。

しかし、アンチパラディンの剣術は本物らしい。
スキがなく、なかなか致命打を与えることができない。
続くマルコの攻撃で骨が軋む音が聞こえるが、必殺には至らない。

  「なぜ、アンチパラディンになるような不名誉をするんや!」  

答えは返ってこない。物言うむくろは、黙ってこちらを威圧するのみだ。

「生きてるなら殺せるから。」

「骨はホモじゃないから」

怖いことをつぶやいて連射を始めるサルヴィアちゃんに、マダナイちゃんが続く。
いや、アンデッドだから死んでるんだけどね。

二人の矢も骨の隙間をすり抜ていく。
頼りになる二人の射撃すら避けてみせるとか、本当、昔は名のある勇者だったのだろう。

だからこそ、動き出す前に術者であるウチがケリをつけないといけない。

「必殺必中のぉぉぉぉ!  <アシッドピット>ぉぉーーー!」

持ってる手札では最良の単体攻撃&妨害呪文!
反応セーブ22を避けられるもんなら避けてみてや!

        *    *    *

【GM】
『あー、避けましたね。パラディンってセーブにボーナス入るので呪文に強いですよ!』

「反則だー!? ぬぐぐぐぐ、必殺技も当たらないと意味がないやないかーー」
まあ、あたったら当たったでマジックアイテム回収できない諸刃の刃だけど。

        *    *    *

こちらの気もしらず、黒の勇者が動き出す。
「我が名はサラセク! オルクスに仕える者!!」
先手を取って剣戟を打ち込んだリオネルに、返す刃、黒き勇者の剣が振り下ろされる。
強い邪悪の気配。あれぞ、悪を討つ一撃ならぬ、善を討つ一撃。

「ッグっ・・・!?」パリィを貫く、骨太の大剣の一撃を受けて呻くリオネル。
「・・・どうやらこいつは善いやつではなかったようだな。」

思ったよりも浅く入ったのか、つまらなさそうに吐き捨てる黒の勇者。
確かに、中立であるリオネルには善を討つ一撃は通じない。
だからって痛くないわけじゃない。それに。

「マルやんもリオネルもファイアーボール後ろからくらっても

 何も言わずにっこりしてくれるやつやで! いいやつじゃなくてなんやの!」

「避けられれば安いものです」
「―――!?」

リオネルの返事に、物言わぬはずの骨の顔が初めてゆがんだ。気がする。
まるで、正気かといわんばかりに。*1

よし、証明して見せようじゃないか。リオネルが善いアンちゃんなんだって。

 

「リオネル、決めにいきますよ!」
「任されましたっ!!」

マルコとリオネル、二人の呼吸を合わせた攻撃が闇騎士サラセクを釘付けにする。
どちらかの攻撃を避けようとするなら片方が後ろから切りつける。
単純だが回避不能の挟撃アタック*2が炸裂し、骨が軋む。

3つの剣が火花を散らした。

そこに吸い込まれるように《呪文威力強化》されたファイアーボールが放たれる。
「―――!?」

本気でやりやがった*3、とでもいいたげに骨の顔がゆがみ、閃光の中にきえる――

*1:まじでこんなやり取りだった

*2:格好よく描写しているが、PLはここで『1たりねー!?』『あ、挟撃あるよ挟撃!』『あーくそビビらせやがって!』などと酷い会話をしていた

*3:マジでやった