ラッパンアスクその6 亡者ども
地面の露出していた1層と違って、2層は石壁に覆われた正統派ダンジョンマップ。
ただし、エネミーも扉もたっぷりやった。
この辺は前に立ち寄った「災いの口」とかいう小ダンジョンを彷彿とさせる。
たっぷりと言っても種類にはまったくバリエーションがない。
ひたすらに出てくる強化されたゾンビ、スケルトン、グールの類ばっかりやのん。
おぞましきラッパンアスクの前菜としては、主催的な矜持でもあるんやろか。
宝物は落とさないけど、厄介な能力は一丁前にあるんやから困ったもん。
* * *
【GM】
『隠し部屋の扉を開くと急に周囲が暗くなります。
暗視も通じなくなってしまいました。で、奥にいた何かが動き出します』
「なにか?!」 「ディ、ディスディスペルッ!」
『あ、はい。奥にいたの超強いスケルトン6匹です』
「ああ!? バスタードソードが神格武器のマルコPLが渋い顔を!?」
* * *
【GM】
『隠し通路を進んだ先には奇妙な星型の形をした部屋です。
そこに16匹くらいゾンビとかグールとかガストが居ます。近づくと頑健セーブね』
「「「「ギャーーー!」」」」
狭い隠し部屋の先にアンデッド大量とか誰得。
さらにその部屋にはお宝のひとつもなさそう・・・・設計者でてこーーい!
* * *
【GM】
『部屋に入るとフリージングスフィアが固定されていますね』
「なにこれ」 「古代の冷蔵庫?」 「とりあえずさわらんとこ」「別んところいこ」
* * *
しばらく、実りのない遭遇を重ね続けた先にみつけた扉。
重い鉄の扉には、ごちゃごちゃと古代の言葉で怪しげな文言が書かれている。
ウチは刻まれた古きに想い馳せながら文字を指でなぞり呪文を唱える。
「古の文字たちよ。我が母国の言葉にてその心を伝えよ」
リボンの力を借りて指先に白く熱が灯る。
「マイシェラ、この扉にはなんと書いてあるのですか?」
白い指先を慎重に進めていこうとするけれど。
オルクス教を憎むマルコが、待ちきれないとウチの背中をゆさぶる。
はるか、遥か古き戦いの歴史がこのラッパンアスクにはあるのだろう。
【サラセク、生前は光に惑わされた奴隷であり、死して闇の戦士王となる】
でもだからって、今を生きてるうちらには関係もあられへん。
「えーとな・・・・要約するならこんなかな」
『闇に負けたパラディンの骨、ここに眠る。』
皆の喉がごくりと鳴った気がした。